Q and A

4.ウィルス感染疑い細胞について教えてください。

 11歳男児の沈渣所見で、ヒトポリオーマ感染と思われる細胞が、5-9/HPF 〜 10-19/HPFと一ヶ月以上継続出現してい
ます。シュウ酸Ca結晶やリン酸塩を伴い、蛋白、円柱は(−)、腎機能検査は正常です。

細胞形態は、尿細管上皮由来が主で、時に移行上皮由来が見られます。いくつかの文献を調べましたが、臨床的意義
が詳しく記載されてなく、なかなか消失しないこの細胞が、何を訴えているのか解りません。

臨床的意義及び必要な検査、治療方法などご教示下さい。

                                                           (千葉県 K病院 Aさん)
 質問の回答


 ヒトポリオーマウイルスは、JCとBKの2タイプがあり、腎臓に感染するのはBKウイルスと報告されています。
幼少期にほとんどが感染しており、特に問題となる疾患を引き起こすことはありません。

今回の症例では、10〜19/HPFとかなり尿中に出現していることから免疫能の低下が考えられます。
しかし、腎機能が維持されていることから積極的な治療は必要ないと思われます。

原因としては、患者自身の免疫機能低下,ステロイド治療、免疫抑制剤の服用などが考えられます。
必要な検査としましては、血中および尿中のPCR等での確認と免疫組織化学染色
による感染細胞の確認が必要と思われます。
今後、腎機能が低下するようであれば服用している薬剤の減量を担当医と相談してみてはいかがでしょうか。

                                                    (文責:班長 横山 貴)

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