Q and A

 37.尿沈渣の採尿量について

   尿検査(沈渣)における随時尿の採尿量は、施設や技師によって違いがありますが基準は
   ないのでしょうか?
   採尿量は遠心分離に使用するスピッツの必要量の10mlあれば良いという人がいますが、
   理解に苦しみます。採尿量と検査必要量は違うのではありませんか?
   (尿細胞診のガイドラインでは、検査必要量50ml以上ですよね。)
   もちろん随時尿ですから少量しか排尿できない場合は止む得ませんが、ある程度の採尿量(100ml位)
   がなければ、沈渣における精度が損なわれるのではないでしょうか?
   (でなければ、鏡検時に「採尿量不足10ml以下、云々」と書く事は意味が無いのでは・・・。
   それとも逆説的に、尿沈渣とは採尿量10mlの確診率で良いということでしょうか?)高察をお願いします。

                                                 (東京都TY病院 Tさんより)
 質問の回答

 
 37.尿沈渣の採尿量について

 A. ご質問にあるように、採尿量による検査成績の影響は否定できません。
    ある程度の時間尿をため、安静後に採尿した早朝尿が、定性や尿沈渣を行う際に最も適した検体
    であり、早朝尿を用いることにより、検査の精度がより保たれると思われます。

    しかしながら、外来では早朝尿による検査は困難であり、随時尿を用います。
    その際に一定の条件(取水量や貯尿時間、採取量など)を設けて採尿することが理想ではありますが、
    現実的には不可能です。

    また、診療前検査として迅速に結果報告を行うことが可能であることも尿検査のメリットであり、
    採尿に時間を費やすことで迅速性を損なうデメリットもあります。
    対策のひとつとして、臨床の先生から尿検査があることを事前に患者へ説明し、検査前に排尿を
    できるだけしないよう指導していただくことで、ある程度の採尿量を確保できるかと思います。


                                                   (文責:都臨技一般検査研究班)

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