29.尿細管上皮細胞の臨床的意義について
A. 尿細管上皮の基本型には、鋸歯型、角柱・角錐台形型などが、特殊型には、おたまじゃくし・ヘビ型、
線維型、洋梨・紡錘型、 円形・類円形型、顆粒・空胞変性円柱型、脂肪顆粒型などがあります。
基本型である鋸歯型は近位尿細管上皮細胞由来が考えられ、薬剤による大小の中毒性疾患が
原因で尿中に剥離されます。
同じく基本型である角柱・角錐台形型は遠位系尿細管上皮細胞由来が考えられ、主に乳幼児など
の発熱に伴う脱水症が原因で尿中に剥離されます。
さて質問にある特殊型の尿細管上皮細胞の臨床的意義ですが、きっちりとしたエビデンスがあるものは
正直ありません。
経験的なものからの推察ですが、線維型,オタマジャクシ・ヘビ型などは、尿細管腔の閉塞や拡張に
ともなう形態の変化であり、疾患特異的なものではありません。
空胞変性円柱・顆粒円柱型などは、長期間にわたる抗癌剤や免疫抑制剤の投与が原因で尿細管障害が
おこり、それにともない形態の変化がおきることが考えられます。
そのため、空胞変性円柱・顆粒円柱型の尿細管上皮細胞が出現した場合には、各薬剤のトラフ濃度を
見直す必要性があります。
円形・類円形型については急性尿細管壊死後の再生期や慢性腎不全で認められます。
(文責:都臨技一般検査研究班)
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