26.尿沈渣検査の観察視野数について
A. 実際はもっと観察しています。
大学病院のベテラン技師であれば、1検体につき、まず無染色にて100倍で20〜30視野、
400倍で20〜30視野を鏡検し、次にS染色にて100倍で20〜30視野、400倍で20〜30視野
を鏡検しています。処理能力は約2検体/分です。
つまり、1視野あたりの鏡検時間のスピードおよび回転率をあげることです。
このような状態では見落としがあるのではと懸念されることでしょう。
しかし、そのようなことはありません。
それは、鏡検する前に臨床情報(年齢、性別、診療科、前回値)と尿定性結果との関係から
ある程度出現している沈渣成分を推定し、さらに沈渣成分どうしの関連性
(1例:均一赤血球 → 移行上皮細胞 → 蓚酸Ca→ 細菌→ 白血球 → 尿路結石症)をイメージ
しておくことによって、迅速かつ正確に結果を報告することが可能だからです。
つまり、鏡検前の心構えが重要であるということです。
そして、どの検体についても同じ条件で観察しますが、沈渣成分が少ない場合は、
無駄な時間はかけず次の検体を観察し、沈渣成分が豊富かつ重要な成分が観察された
場合には十分時間をかけるなど柔軟性も必要です。
尿沈渣検査の経験が少ない時期は、難しいと思いますが、このようなことを少しずつ思い
ながら鏡検することによって、迅速かつ正確な結果を報告できるのではないでしょうか。
(文責:都臨技一般検査研究班)
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